失敗しない太陽光発電 導入前の注意点(9項目)

 太陽光発電の導入を検討する際、以下の点に注意していただければトラブルを避けることが可能です。

 その1 見積もり

 ・見積もりは「複数社」から取って比較検討してください

 ・相見積もりをいやがる業者は避けましょう

 ・屋根の状況を実際に見てもらいましょう

 ・大事なことは“比べて選ぶ”ことです!

 

 メーカーによってパネルの大きさは異なるため、設置できる枚数も屋根の状況によって違ってきます。このため変換効率の高いパネルが大きなシステム容量になるとは限りません。変換効率の低いパネルの方が大きなシステム容量になることもあり得ます。

 また、屋根の状況を見ていない場合、工事の段階で追加料金が発生することもあります。

A社 変換効率(16.9%)     B社 変換効率(18.2%)
21枚載せられ 4.1kW       16枚しか載せられず 3.7kW

 

 上図のように、変換効率の低いパネルのA社プランの方が、大きいシステムを載せられることもあり得ます。 

  

その2 発電量予測 

 ・「発電量予測」を業者に出してもらいましょう

 ・年間発電量は方角や角度で大体決まります
 ・予測発電量を下回った場合、保証される場合も

  あります(契約内容によります。詳細は各メー

  カーに問い合わせてください)

  (右図は真南、傾斜角30度を100%とした場合

   の方角別発電比率)

 

 太陽電池1kWあたりの年間発電量は
  南向き  ⇒  年間  1,000~1,100kWh
  東・西  ⇒  年間       850~ 950kWh          
  が目安です。

 (※CIS、HITなどのパネルで、条件がよいと1,300~1,400kWhという発電量の

  実績が報告されています) 

 

その3 影の影響

 

 ・影は意外と大きな影響を及ぼします
 パネルに濃い影がかかると発電しません。パネルの一部に影がかかっていると、影の面積分だけ発電量が低下するのではなく、影がかかっているパネル全体、さらにそのパネルと直列でつながっているパネル数枚すべて(系統)に影響が出ます。 

(全並列接続の場合は影がかかっているパネルのみ)
 将来、隣地に高い建物が建たないか、背が高く伸びる樹木がないかなど、現状だけでなく将来も見据えて確認しておきましょう。

 

■影になる可能性のあるもの
 電線、アンテナ、高い樹木、隣家屋上の柵など
 ※影を承知で設置する場合、その影響を最小限に抑えるパネル配置を業者に相談しましょう。

 

 写真は、外壁・屋根塗り替え工事で足場のパイプやビニールシートの影響を20日間受けた例です。当該月と同等の全天日射量だった過去の月に比べ発電量が16%(1カ月換算では24%)低下しました。 

 その4 施工保障

 

 ・「施工保障」があるかどうか確認しましょう!

 

  万が一の施工ミスによる雨漏り等は無償修理・被害補償が受けられます。(期間は10年)「施工保証」はメーカーが提供している場合と、販売施工店が提供している場合があります。
 各メーカーが実技研修会を実施し施工技術者を養成・認定していますが、ある程度の経験がある業者の方が安心できます。
 長年の風雨で既に屋根が傷んでいたり、塗装がはげて防水性が低くなっているような場合は、設置前に屋根自体の点検・補修や再塗装をしておきましょう。 

 その5 自然災害保障

 

 ・「自然災害補償」あるかどうか確認しましょう!

 

 近所に落雷がありパワコンが壊れた、突風で瓦が飛んできてパネルが破損した、等の被害をカバーするのが「自然災害保障」です。
 メーカーが保障している場合と、販売施工店が損害保険会社の保険に加入している場合があります。「設置者が住宅にかけている火災保険の風水害特約でカバーしてください」という場合もあります。

 契約前にしっかり確認してください。 

※保障内容はメーカーや販売店ごとに異なりますので、
 契約前にしっかり確認しましょう!

 その6 固定荷重・風圧荷重・地震荷重

 

 ・地震荷重は、特に心配いりません!

荷重種類

      内  容

固定荷重

パネル、架台を合わせた重量です。3KWシステムで300~500Kg程

度で、1㎡当たり10~15Kgです。荷重が均等にかかるため屋根への

負担はそれほど大きくはありません。

風圧荷重

パネル、架台に加わる風圧力です。風圧荷重は設置する高さや風を受

ける角度で大きく変わります。また設計用基準風速は地域で違いま

すので、適用基準風速や設計風圧荷重の確認をしましょう。
各荷重の中で、風圧荷重が一番大きくなります。

地震荷重

支持物に加わる地震力は、一般的に風圧荷重より小さいものとなりま

す。

積雪荷重

雪の重さに勾配係数を掛けます。積雪地域では、パネルや架台の補強

が必要です。(積雪地仕様)

JIS C8955(太陽電池アレイ用支持物設計標準)
基準が整備され、各メーカーともに遵守されているため安心です。

1981年(S56年)の改正建築基準法以前の建物の設置は、施工前の現場調査で「屋根強度」の確認をすることになっています。 

 

その7 パネルの性能保証

 

 ・「パネルの性能保証」は10年~25年
  メーカーにより期間に幅があります。


 保証値(公称出力の何%以上の出力を保証しているのか)も微妙に違いがあります。出力保証に保険会社の保険をつけているところもあります
 太陽光パネルも家電製品や自動車などと同様に「製造不良」があり、設置後数年で出力が低下する不具合事例も報告されています
 保証期間内であれば無償で修理交換してもらえますが、“不具合は自分で発見して申告する”必要がありますので、日ごろから発電量を記録し、自己点検を欠かさないようにしましょう!
 住宅用として既に20年以上、正常に発電し続けている実績が多くあり、正常に製造されたパネルは20年以上(最大30年)の寿命を期待して良いと思われます。

 

■パネルの日常的なお手入れ
 ・特に必要ありません


 設置角度が20度(屋根勾配4寸)以上あれば、通常のよごれは雨で流れ落ちます。ただし、角度が緩い場合はだんだん汚れが積もり(特にパネル下部の枠辺り)、発電量が低下することもありますので、点検も兼ねて販売店に清掃を依頼した方が良い場合もあります(3~5万円前後)

 

その8 パワコンの寿命

 

 ・寿命は10~15年くらい
 ・売電収入を蓄えておくなど、10年を超えたら

  出費に備えておきましょう 

 

 販売店がうっかり説明を忘れる場合もあるようですが、パワコンは電子機器ですので、寿命はテレビや冷蔵庫など家電製品と同じです。
 日常的なお手入れは、特に必要ありません
 通常保証期間は10年で、保証が切れた後の修理・交換費用は原則、設置者負担です。 交換の場合は工事費込みで20万円前後が現在の相場のようです。(パワコンの容量にもよります)

 

その9 売電力量計

 

 ・設置時の費用(本体、工事代)は設置者負担

  です
 ・10年目ごとに交換が必要です!(計量法に

  よる)
 ・工事の手配も設置者が行う必要があります

  (3万円前後)  
  ※詳細については設置業者へ問い合わせてください。

 

 ソーラー発電をつける前からついているメーターは

「買い電」を計測するための電力量計です。ソーラー発電を設置すると、もう1つ「売り電」を計測するための電力量計が必要になります。
 なお、買電力量計は電力会社の負担です。

 

 なお、2016年4月以降は順次「スマートメーター」(双方向計量機能)へ交換され、1つの電力量計に統合されることになります。交換費用は基本無料です。 

 また、新電力に契約を切り替えた場合、時間帯別料金(新メニュー)に変更した場合、家庭内にHEMS機器を設置するなどの場合は、最優先で「スマートメーター」に交換されます。

 

 最後に、甘いセールストークには注意しましょう!


  ・「今だけ...」「限定○棟」「特別モニター価格」は訪問販売の常套句
    です。惑わされないようにしましょう
  ・契約を急がせる業者、相見積もりをいやがる業者はお断りしましょう
  ・「A社がオススメです」という話は根拠を聞きましょう
  ・「全メーカー取り扱い」をPRしていても、主力は1~2社というこ
    とが多いです
  ・既に設置したお友だちの話を鵜呑みにしないでください
  ・ローンの契約形態を確認しましょう
  ・業者が特定の金融機関を紹介する場合は注意しましょう
  ・全額、前払いを要求する業者には注意しましょう